今回のブログは３部構成です。
２には情炎ディフェクタス純愛初恋双方のネタバレがありますので、ご注意のほどよろしくお願いいたします。
『情炎ディフェクタス』発売！
情炎ディフェクタス
―とある運び屋の狂った純愛―
―とあるヤクザの爛れた初恋―
企画・脚本を担当させていただきました。
ジャケットイラストをうり先生（@tume_uri）
陽気な快楽主義者・運び屋の鐵晏五を猿飛総司さん
頑迷な無法者・ヤクザの咎目夜弦を彩和矢さんに演じていただいております。
魅力に溢れたイラストと素晴らしい熱演、
そして作品への情熱と手厚い進行で支えてくださったステラワースさんに感謝してもしきれません。
本当にありがとうございました！
ステラワースさんとは今回で３作目。
１作目『心憶え』では絶えず揺れ動く心を、
２作目『オッドバース』では吹き荒れる感情の嵐を、
３作目である『情炎DF』は、ヒロインのあなたを楽しませることを一番に考えて執筆しました。
書いている間ずっと楽しかったです。
Xでもちらっと呟きましたが、かなりのボリュームを書かせていただいたにもかかわらず、書きたい欲がまったくおさまらず。
猿飛さん、彩さんのお芝居を受けてますますそう思いました。
しかしあくまで目標は、ヒロインであるあなたにお楽しみいただくこと。
怒鳴ったり茶化したり、監禁したり脅したり。
どちらも一筋縄ではいきませんが、あなたを愛したくて生まれたふたりです。
どうぞよろしくお願いいたします。
晏五くんと夜弦くん
※ここからネタバレあり
「ディフェクチオ(Defectio)とは、女性もしくは男性を失神状態まで到達させる性行為の俗称。
自我の欠如という観点から新しいカテゴリとして確立された。
ディフェクタスは語源。意味は欠如」 Wikipedia
■ 子供のころの夜弦くん
極道の家に生まれた夜弦。
幼いうちに祖父の強さに憧れを抱き、極道の道に進むことを決意しました。けれど母親にものすごく反対され、祖父たちに教えを乞う機会が格段に減ってしまいました。立派な極道になるための努力をしたいのに……焦るちびっこ夜弦。そんなときに見つけたのが、極道映画です。スクリーンの中で活躍する『仁義を重んじる昔気質の極道者』が夜弦の理想となり、やがて現実との乖離を生みました。
映画の極道とリアルの極道は違う。そんなことは夜弦も分かっているけれど、無意識下で手段を選んでしまう。姑息な手段をとることはかっこ悪いという価値観が根付いてしまっている。それが祖父たちに「夜弦はこの世界には向かない」と言われるゆえん。
「晏五のようなヤツが跡取りだったらよかった」
そんな言葉を聞いて、夜弦は育ちました。
■ 子供のころの晏五くん
「アンタを生んでもいいことなんて一つもなかった」
母子で見ていたテレビで《子供は社会の宝物》というCMが流れたときのことでした。
怒りも悲しみもない。彼女がぽつりと漏らした無感情な本心が、《常にイーブンな関係でありたい》晏五を形作りました。
このとき晏五は、傷つきはしませんでした。「まぁそうだろうなぁ」と母親に同意し、CMの方に違和感を抱いた。
「何にもしてないのに《宝》って変じゃない？ 要はまっとうな大人になって自分たちを養ってってことでしょ？」
この考え方は、一種の自己防衛。この考え方すらも、晏五が自分のことを守るための盾でした。
盾を壊したのは夜弦。
母親に大切にされる彼を見て、無条件でも存在しうる愛を知り、自分には愛される価値がなかっただけなのだと思い知ることになりました。
■ 幼い恋心
ふたりともあなたのことが好きでした。だけど、あなたの前から立ち去った。
好きになった相手も、恋の結末も同じですが、いくつか異なる点があります。
たとえば立ち去った理由。どちらもあなたのためではあるのですが、微妙な差があります。
晏五は、無理だと諦めたから。
自分が怪我をしたら心配してくれるあなた。優しく手当してくれるあなた。最初はたどたどしい手つきだったのに、晏五のために治療の仕方を保健室の先生に習うことまでしてくれた。それがどれだけ嬉しくてどれだけ幸せだったか。けれど《常にイーブンな関係でありたい》晏五には、重荷だった。
「あの子にしてもらった分を返せるほどのものがない」、「（母親のように）不幸にしてしまう」
あなたのことを想うと、たくさんの雑音が聞こえてくる。好きなのに辛い。好きだけど苦しい。だから晏五はあなたから離れ、あなたのことを忘れました。
それに対して夜弦は、あなたを忘れませんでした。
晏五が彼女から離れたのを見て、ヤクザを志す自分もそうすべきだと倣った。（年齢差、祖父たちの言葉、実力含め晏五は自分より格上の存在だと思っている節がある）
だけど夜弦は晏五ほど器用ではないので、彼女が中学にあがってからもこっそり見に行ったりしていた。あなたのことが本当に大好きで、まぎれもなく恋だったけれど、憧憬も含んでいたのだと思います。怖い相手にも話しかけることができる、手当までしてあげられるあなたの強さに惹かれていたのでしょう。
指針とする祖父たちから否定され続けるのは、辛いことです。自分の可能性を信じられなくなる、何のために生きていけばいいのか、分からなくなる。自分に自信が持てなかった夜弦にとって、あなたはお守りのような存在。遠くから見ているだけでも勇気が湧いてくる。
雑音だらけの愛を、純愛と呼べるまで濾過した『とある運び屋の狂った純愛』
一生消えない火傷のような『とあるヤクザの爛れた初恋』
CDのお仕事が好き
ここからは自分語りです（全部そう
わたしはいつも『この人は本当にいる』と強く信じ込むところからはじめます。これまで細々とでもやってこられたのは、この思い込み力のおかげなのです。
……とんだ妄想屋だと引かれてもおかしくないですね。不快にさせてしまったら申し訳ないのですが、これにはちゃんとメリットもありまして。
・キャラクターの行動や発言に矛盾が生まれづらい。
・自分とはまったく異なる別人格だから、その都度新しい価値観が生まれる。
・現在進行形で生きている人だからネタに困らない。溢れる。
……などなど。
シチュエーションCDは特にそう。だって晏五さんと夜弦さんが愛するあなたは現実世界に存在するんだから、それなら彼らだっているだろうと。
でもデメリットもあって。こういうやり方をしてると、ひとつひとつの作品に思い入れを持ちすぎてしまうんですよね。折り合いの付け方がすごく下手。
書き上げたあとの喪失感は言うまでもなく、もう書く機会が無いんだなと思うと寂しくてしょうがない。これがけっこうな心的負担で……。
シチュエーションCDのスピード感に魅力を感じる一方で、正直まだ慣れていません。彼らの世界をもっとずっと見ていたい。
でも、贅沢な悩みなんですよね。
それだけ大事に思える人との出会いは、幸福以外の何物でもなく。
大切したいものはいくつあってもよい。個数制限はないのだ。
お楽しみいただける作品をお届けできるよう、これからも頑張ってまいります。
あ～～でもやっぱり寂しいな～～
まだいっぱいあるんやよ～～～～