※この記事は『even if TEMPEST 宵闇にかく語りき魔女』のネタバレを含みます
両作をプレイしていただき、ありがとうございます!
いや~とっても面白いご質問ですね。
全員はちょっと時間がかかりそうだったので、3人に絞って考えてみたいと思います。
前提
そもそも『死に戻り』という力は、どういうものなのか。
これは個人的な考えなので押しつけるつもりは一切ないのですが(このブログに書いていることは全部そう)
『死に戻り』は汎用タイプの力なんじゃないかと思っています。
たとえば炎の異能を持つ女の子がいたとします。
どんなものも焼き滅ぼすことができる作中最強の存在。ですが、彼女はとても優しい性格で、己の力を誇示するよりも、人に寄り添い慈しむこと。支配より尊重を望む少女でした。
そんな彼女にとって、愛しい人を滅ぼしかねない炎の力は重荷でしかなかった。
一方で上手く操れる人も当然いるわけで、他人の命と紙くずの区別がつかない人が持てば最悪の兵器となります。
炎は、向き不向きに左右されやすい力なんですね。
それに比べると『死に戻り』は、専用性の低め。
シューティングゲームでいうリトライ機能みたいなもので、回数をこなせばどんどん上手く進行していくことができます。
マリオの残機、あればあるほど助かるのと同じです。
ゆえに『死に戻り』の適性は、繰り返される『死』に耐えられるかどうかにかかってくると考えられます。
あとは死ぬほど痛い思いをしてまで、叶えたいこと・成し遂げたいことがあるかどうかも関わってくるのではないでしょうか。
◆ ポイント
・『死』に耐えうる精神力
・野望の有無
コンラッド・ノイシュバーン
質問者さんのおっしゃる通り、恐ろしい使い方をしそうだなぁとは思いはするものの、
〝果たしてこの方の辞書に後悔という単語はあるのか?〟
という疑問にぶつかりまして……なんというか、
「彼女のことは気に入っていたんだが、嫌われてしまったようだ。仕方ない、殺すか」
という感じで残念に思っても、自害してまで嫌われた原因をなくそうとは考えない。
自分が血を流すなんて一切想定されていらっしゃらないでしょう。
他者を傷つけ、痛めつけることには手慣れていても、その逆はない。
この方の場合は、
『死に戻り』する勇気はあるか? ということよりも、
『死に戻り』してまで手に入れたいものがあるか? ということでもなく、
『死に戻り』してまで手に入れたいと思える心があるか? ここを突き詰めて考えないと答えが出なさそうです。
ティレル・I・リスター
この人の手にかかれば、死の苦痛を最小限に留めることは可能だと思います。
無欲な人なので、自分のために『死に戻り』を多用することはないでしょうが、『死に戻り』の力があれば、イシク族の滅亡を避けることはできると思います。
ただ、その力を手にするタイミングはいつなのか?
アナスタシアと結ばれ、幸せに暮らしているときだとしたら。彼はどうするんでしょう。
イシク族の同胞たちのために生きてきたのに、愛する彼女を選ぶのか。
ようやく得た愛や幸せを投げ捨ててまで、同胞たちの未来を選ぶのか。
(辛くなってきたのでここまで)
ルーシェン・ノイシュバーン
野望があって、知性もある。精神にやや不安要素はあるけれど、「大切な人を救いたい」という思いが大きな力になる。
……というところで、ルーシェン殿下はバランスがとれているんじゃないかと思います。
アナスタシアに比べると、〝彼女より賢くて、彼女より弱い〟という評価になるかと。
殿下はアナスタシアのように「とりあえず当たってみよう。何回砕けてもいいから」みたいな脳筋魔法使いにはならないと思うので、『死』による精神的な負担は彼女より低いと思います。
ただ殿下の場合は、人材に恵まれていないという問題があります。
もちろん殿下を支える派閥貴族はいますが、優しく見守ってくれる上司、身を挺してまで守ってくれる姉代わり以上の存在はなかなか得がたいのではないかと思います。
ルーシェンも多くの問題を抱えているので、彼視点でお話を書いてみたら楽しそうです。
まとめ
こうして振り返ってみると、アナスタシアは、
・1つのことにしか集中できないシングルタスクタイプ
・たまにパワープレーで解決しようとする脳筋
・1人で抱え込みやすい
という欠点はあるものの、精神面や環境面などを含めて相対的に考えると『死に戻り』の適性はそこまで低くないと思います。